2年ぶり上京 第88回白日展

 

 昨年の白日展は震災の影響をもろに受け、開催日は3日ずれ懇親会もなかったので上京しなかった。開催は結局1週間ほどだった。

 今年の作品はやや自信はあったのだが、展示してあったのは27室。やや不満はあったが、よく観察してみて自分の作品の弱さが見えてきた。まだまだ成長の可能性があるということだ。(笑)となぐさめる。

 今回の懇親会は中山先生の喜寿の誕生日に当たり、アトラクションも企画され、ジュディさんの歌などで華やかな会になった。ミーハーな僕は写真を撮らせてもらい大満足。他にも色々な方に直接ご挨拶でき嬉しかった。

 次の日は朝から千葉の保木美術館に。島村氏の作品の現物を見るのは初めてだ。流石流石流れ石。島村氏のみならず石黒氏等の描写力の的確さに圧倒される。作品にガラスが入れてないので、細かい部分が本当によく観察できる。有り難いことだ。出来るだけ説明したくないという理由から細かく描くことを適当にしたい僕であるが、ここまで徹底してあるとやはり嫉妬の様なものを感じる。しかし肌の陰の色の表現はこれだけ明るく表現できるのかと感心させられる。美しい陰だ。謙虚に学ばされる。僕の表現はまだつたないが、(もう爺さん!遅かりし由良の助)自分なりのイメージ表現はしてきているつもりだ。あせらず自分の表現を深めていくしかない。今までは何の目標もなく、さほど絵というものに固執することがなかった僕に刺激をくれた人たちの作品が,一同に見られたことが有り難かった。来年またくるときまでに自分なりのマチエールと肌の陰色の表現を研究してみようと思った。

 

東京駅に3時過ぎ帰ってきて、上京のもう一つの狙いが、テミス像を見ることだった。弁護士会館に連絡してくれた40年ぶりに会った大学時代の知人に案内してもらい実物をみる。ここのテミス像は多くのテミス像と比べ明らかに反対のポーズである。本来は天秤を高く掲げ、剣を下ろしている。何故このテミス像は逆なのだろう。大理石で出来ているが、何か火災にでも遭ったのだろうか、色は飴色の部分や黒づんだ色に見える。最初は真鍮ででもつくったのだろうかと思ったものだ。よく見ると剣が折れて接いで有るのが判る。左手の指も少し欠けている。しかし、今までネットで検索した日本にあるテミス像の中では最も美しい。拝見させてくださった方に来年は写真を撮らせてもらえるようにお願いして、その横にあった古い大時計の写真を撮らせて頂いて帰った。

古い物は美しい。時を生き抜いてきた歴史があるからだろう。この時計も何らかの作品に登場させるときがくればいいな。今回出品している作品にも、ほとんど茶色く紙が日焼けした古ーい地球が登場している。ソビエトと満州国が同時に存在していた時代の地球儀だ。ゴミ箱に捨ててあった物を拾ってきたものだ。僕のアトリエはほとんどゴミ屋敷かもしれないなあ。(笑)

 

 

 

 

 

                                    今回の出品作の一部

そして雨の中、虎ノ門の方のテミス像を捜してこちらはばっちり写真を撮り、その後40年ぶりの知人たちとの「対面場所」に案内してもらった。40年ぶりとは言えやはり面影は消えず、当時と同じように話が弾み久しぶりに学生時代に思いをはせた一時だった。みな素晴らしい仕事をしてきた人ばかりだ。まるで畑違いの先輩諸氏と知り合いになれたのも不思議なことだが、こうして東京で5人も同時に出会えるのも不思議なものだと思う。縁とは不思議なものである。

とても充実した歩き回った2日間だった。

 皆さんまた会いましょう。(^_^)!