梅雨

 なるほど梅雨である。今日も又雨。しかし昨日も今朝もひんやりして気持ちが良い。子供の頃の梅雨に戻ったようでうれしい。僕の故郷では夏でも30度の日は年に1度有るか無いかと言うぐらいで今では信じられないぐらいだった。梅雨時は寒いぐらいだった。

 昨日はカルチャー。学校で教えていても水飲まぬ馬で、教え甲斐が無いが、カルチャーの生徒さんたちは僕も見習うべきだと思うほど真摯で、こちらも衿をただす。初心者にはかなり難しいかなと思ったが、バイオリンを描いてもらっている。ぼろぼろだが、楽器はいつも美しい。計算された試された形とでも言うのだろうか、特に古い楽器はその汚れやいたみが、それがたどってきた歴史をひっそりと秘蔵する。僕が描写にこだわるのはその質感と色合いとを通してストーリーを味わいたいからなのかもしれない。だから弱い作品になるのかもしれないが。

 昔は雨は嫌いだったが、今は少し落ち着ける。県展の作品のとっかかりさえつかめず、焦りはあるが、また絵の神様が描けよと言ってくださるかもしれない。(笑)気にすると精神がいたたまれないほどのすさまじい部屋の中で、教材の研究と地域の仕事と最近増えた文化協会の仕事で、一日中パソコンに向かっているとへとへとになる。無性に絵が描きたくなる。こちらもごちゃごちゃになっているが、アトリエに行くと落ち着。少し前に描いた紫陽花の絵に手を入れて、ああこれも梅雨だなあと紫陽花の深い色彩に心をゆすられながら梅雨を味わっている自分が居る。